真選組

□嵐の予感 4
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警察庁に到着し、受付で松平に面会を申し出た。
一応あれでも警察庁長官だ。会うには、それなりに手順がいる。
しかし受付の女性は賢明なことに、芹沢のことを知っていた。最も芹沢も新見も、警察庁では有名人だ。
ここで彼らを知らないと、無事に生きていくことなどできない。
ちょうど会議など入っていなかったようで、二人はすぐに長官室に通された。



「何だ、朱鷺、オメェ。俺ぁは忙しいんだよ。会議じゃねェのか」
「会議まではまだ時間がある。十四郎を何処にやった」
「あん?」

有毒物質をその口から排出しながら、松平は顔を顰める。彼はタヌキだ。芹沢も新見も注意深く眺めた。

「トシか?トシは俺の仕事で出向だ」
「だから何処にだ」
「それは業務上の機密だから、オメェにも教えねェ」

傲岸不遜に言い放つ彼は、やはり芹沢の親類縁者だった。その顔から、真意を窺い知ることはできない。
芹沢は鼻を鳴らした。

「何か危険なことをやらしてないだろうな」
「真選組自体が危険だろうが」
「叔父貴の用で怪我するようなことがあれば、ここを破壊するぞ」

あながちただの脅迫でないだけに恐ろしい。きっと土方が髪の毛一筋ほどの怪我でもすれば、本気で警察庁はこの世から消滅するだろう。
しかしタヌキ親父の松平は、それを歯牙にもかけない。

「大丈夫だ。俺もトシは可愛い。そんなこたぁ、させねェよ」

この話は終わりだとばかりに、松平は二人をシッシッと手で追い帰す。
どうにも腑に落ちないが、これ以上ここにいても彼から得られるものはないだろう。
松平が土方を可愛がっているのは知っている。とりあえず急を要することではないと判断して、二人は部屋を後にした。





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