真選組

□嵐 再来 6
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土方は島田を伴って、まず警察庁に乗り込んだ。
SP隊も一応刑事局の管轄になるので、本部はここにある。
連行されたとすれば、この建物のどこかに銀時はいるはずだ。

「大鳥局長は只今、所用で席を外せないそうです」

にっこりと如才ない微笑で、美人で評判の受付け嬢は土方に答えを返した。
伊庭は?と尋ねると、やはり同じ答えが返ってくる。

「じゃぁ、松平長官は?!」
「長官は外出中でございます」

土方はギリギリと音が聞こえるか、と思うほど、歯を噛み締める。
どうあっても、自分とは会わないつもりだ。
どうしようかと、思案していると、思わぬところから救いの手が現れた。

「あれぇ?土方くんじゃないか」

聞き覚えのある声に振り返る。
そこにはやはり知った顔が、ニコニコと人のいい笑顔を浮かべ立っていた。
警察庁長官補佐・松平次郎だ。
この人は芹沢の旧知ではない。今、この場面で打ってつけの人物だった。

「松平補佐!」

鬼気迫る土方に、松平は思わず後退った。
それにものともせず、土方は必死に訴える。大鳥に会わせてくれ、とにじり寄った。

「大鳥くん?いないのかい?」
「所用とかで会ってもらえないんです。急用なんで、今すぐお会いしたいんですが・・・」

土方のその台詞に、松平は首を捻った。
大鳥の土方への盲愛ぶりは、既にストーカーの一歩手前として、伊庭共々庁内では有名な話だ。
その彼が、土方からのこの熱烈なラブコールを無視するとは、考えられないのだが・・・。
ちょっと待ってて、と言って松平はそこを後にした。



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