真選組

□嵐 来襲 3
1ページ/17ページ


真選組3番隊隊長・斎藤終が初めて真選組副長・土方十四郎と出会ったのは江戸にある試衛館という道場であった。
当代3大道場と誉れ高い千葉道場が、聞いたこともない弱小道場に公式戦ではないといえ敗退したと噂に聞き、
その道場に興味を持ったのが始まりである。
どうにかその道場を聞き出し、それが天然理心流という流派で試衛館と名の付いた道場の場所を調べ上げた斎藤は
興味本位に覗きに行ったのだ。
そこで中を除いた瞬間、斎藤は1人の剣に魅入って目が離せなくなった。
荒々しいが、気迫の籠もった力強い剣。
今まで剣に自信があった自分が一瞬足が竦むほどであった。
そしてその赤い面紐を解いて面を外し、現れたその容貌を見てそれこそ目を疑った。
長い艶やかな髪を一つに結わえ、汗が流れるその白皙の頬は上気してピンク色に染まっていた。
切れ長の綺麗な二重瞼の瞳はまるで南洋の宝珠・黒真珠のようで一際目を引く。すっと通った鼻筋に唇は桜色。
今まで見たどんな人間より綺麗で、まるで奇跡を形にしたようなその姿に斎藤はしばらく動けなかった。
そのまま見詰めていると、相手も流石に不躾な視線に気付いたのだろう。
斎藤の方を見たものだから目が合ってしまった。
その瞬間、まるで縛り付けられていた糸が切れたように斎藤はぎこちなく動き出し、道場の中に入る。
いきなり入ってきた部外者に他の者が道場破りかと警戒していると、斎藤はそのまま目当ての人物の前に立った。
立たれた方も何が起こっているのか、訳も分からず首を捻りながら斎藤を見上げる。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ