銀時×土方

□魔法の小瓶
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「来たぞ」

翌日、隊服から黒の着流しに着替えた土方は、やはり歌舞伎町の恋人の家の扉をくぐった。

「待ってたよ〜ん!」

すかさず抱きついてくる銀時の腹にエルボーを決めると、銀時は涙目で腹を押さえながら
暴力反対、と訴える。
それにセクハラ反対だ、と告げると、セクハラじゃないもん、愛情表現だもん、
と拗ねてしまった。

「そんな表現はいらん」

憮然とそう答えると、銀時はよよよ、と泣き崩れる。

「多串くんの愛が感じられない…」
「ねぇよ!最初から!!」
「うぅわ!じゃ、なに?銀さんの体だけが目的だったわけ?あんなに弄んだくせに!」
「嘘をつけぇ!弄んでんのはいつもテメェだろうが!!」

ゼーハーと肩で息をしている土方を見て、これ以上はまずいかと銀時はからかうのを中断する。
漫才をするために呼んだのではないのだ。

「まぁま、いい酒入ったんだ。飲んでけよ」

宥めるように肩を叩いて中に入るように勧める。
土方はそんな銀時をうさんくさげに見つめた。

「な、なに?」
「なに企んでんだよ?」

ぎくり、と身を竦ませる銀時を土方の瞳が射抜く。
それにだらだらと汗を掻きながら、銀時はぶんぶんと首を振った。

「やだなぁ。俺が多串くんになにするって言うんだよ」
「今までも散々いろんなことをしてくれたよな?」

コーヒーに目薬入れて腰を立てなくしてみたり、夕飯に媚薬入れてみたり・・・

「一回睡眠薬入りの味噌汁、飲まされたな」

今までの悪行の一端を暴露され、銀時は顔を引き攣らせ目を泳がせた。
それをじっと見ていた土方は、はぁ、と大きな溜息を吐く。

「多串くん?」

恐る恐る上目遣いでお伺いを立ててくる銀時に、土方は笑いを堪えた。
こつんとその銀色の頭を小突いて、中に入っていく。
銀時は吃驚して、目を丸くした。

「酒、飲むんだろう?」

そう言って、今代わりの部屋に入って行く土方を銀時は嬉しそうに追いかけた。
結局、そんなことをされても許してしまうぐらい、土方は銀時に惚れているわけだ。
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