銀時×土方
□魔法の小瓶
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「お〜い!多串く〜ん」
朝から町中歩き回ってようやくお目当ての人物を見つけて、銀時は弾かれたように駆け寄る。
それに言われた本人は、剣呑な光をその双眸に乗せて銀時を睨み付けた。
「何の用だ?このクソ天パ。いい加減人の名前、覚えやがれ」
「え?なになに?銀さんに名前呼んでもらたいの?それならそれで言ってくれ…」
最後まで言い終わるまでに土方の鉄拳によって強制終了させられる。
殴られた頭を押さえつつ、もう恥ずかしがり屋さんなんだから、などと腐った発言をして土方の怒りを
更に煽った。
「用がねぇなら俺ぁ、行くぞ!おめぇと違って忙しいんだ」
こめかみにくっきり青筋を立てて、足早に去ろうとする土方の腕をガシッと掴む。
真摯な顔で見つめられて、土方は困惑した。
「おめぇ、次の非番いつ?」
「え?」
いきなり脈絡のないことを尋ねられ、土方はとっさに反応できない。
それに重ねていつ?と聞かれて、ついバカ正直に明後日、と答えてしまった。
その答えに銀時は、至極満足したように笑みを浮かべる。
「そっか!じゃ、明日の夜、うちに来てね」
肩をバンバン叩いて、自分の言いたいとだけ言って、じゃ!と去っていく銀時を土方は呆然と見送った。
土方が我に返ったのは、銀時の姿が視界から消えてからだった。
「な、なに勝手に約束してんだ!俺ぁ、行かねぇぞ!!」
そう叫んでみても、すでに彼の姿はどこにもないのだ。
くそ!と悪態をつきながらも、自分は明日になったらきっと歌舞伎町に向かうのだろう。
それがわかっているから、土方はもう一度口の中でくそ!、と呟いたのだ。
そう。この2人は所謂ぶっちゃけラブラブバカップルなのである。