リクエスト 1
□フェティシズムな彼 1
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万事屋銀ちゃんこと、坂田銀時は最近はきちんとバイトに勤しんでいた。
いや、マジ、本気、真剣に経済状態がすごいことになっているのだ。
明日のおまんまもどうするべ、という状態なのだから働かないと仕方がない。彼の扶養家族はふざけんなよ、
このやろーというぐらいよく食べるのだ。
そして彼はこの日、宅配の配送員として、汗を流していた。
今は先日不在だった家へ再配に向かっている最中だ。
助手席に置いてあるその荷物をちらっと横目で見る。今日最後の荷物だ。
そこには1メートルほどの梱包された荷物が鎮座していた。
商品名を見るとテディベアと書かれている。
となるとあれだろう?
銀時でも知っている世界で1番有名なくまさんだ。
気になるのはその届け先だった。
送り状には土方十四郎、と書かれてある。
土方と言われて最初に思い出すのが、某武装警察の鬼副長だ。公僕のくせにいつも銜え煙草で
目つきの悪い仏頂面を晒している彼だ。
あいつの下の名前なんつーんだっけ?
思い出そうとして、よく考えたら知らなかったことに気付いた。
確かゴリラはトシって呼んでたよな?
じゃ、トシヤとかトシロウとかトシミとかそんな感じだろう。
もう一度送り状を見る。
十四郎・・・。じゅうしろう?
第一、先ほど住所を調べたらそれは彼がいるはずの屯所には近いが、少し離れた住宅街だった。
いやいや、ないない。ないって!っていうかあるはずねぇだろ!!
乾いた笑みを浮かべた時、車は目的地に着いた。
そしてそこで家人と2人して呆然と立ち尽くすことになってしまったのだ。