真選組
□嵐 来襲 4
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「いい加減にしろ、朱鷺。トシが可愛いのは分かるが仕事に私情を挟むな」
「叔父貴に言われたくはない。栗子のために何度仕事をサボった?」
芹沢朱鷺。彼は警察庁長官・松平片栗粉の実甥にあたる。
その関係で新撰組創設に関わったのだ。
2人の間に激しい火花が散る。互いに一歩も譲らなかった。
「はいはい、いい加減にしてくだせぃ。一般市民から苦情と問い合わせの雨嵐でさぁ。
土方さんも一旦帰った方がいいんじゃないですかぃ?」
誰も入れない雰囲気のその場に沖田がひょいひょいと仲介する。
斎藤に捕らえられて、もがいている土方をも大人しくさせた。
「ちょっと待てよ!うちはどうしてくれるんだ、コノヤロ〜!その上、今夜は土方と2人きりの
甘い夜を過ごす予定だったんだ!!土方は置いてけ!!!」
銀時のその台詞に、確実に周辺の温度が10℃は下がった。
皆一様に恐る恐る芹沢を仰ぎ見る。
彼の顔は修羅もかくやというものになっていた。
「こ、このような下劣な輩に私の十四郎が・・・。来い!十四郎!!絶対にこの男は許さん!!!」
もう誰が何を言っても聞きそうにない。
土方は銀時を見て泣きそうに顔を歪めた。
銀時はそんな顔をさせたくなくて土方に手を伸ばすが、その手は土方には届かない。
土方はそのまま斎藤に促されて芹沢の方へ向かった。チラチラと振り返り銀時を見ながら・・・。
それを追いかけようとする銀時を沖田が止める。ゆっくりと首を振る沖田に、
銀時は唇を噛み締めた。