真選組
□嵐 来襲 3
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「邪魔をするなぃ」
他の門下生なら竦み上がるような低い不機嫌な声にも、原田は頓着もせず自分より小さな沖田の体を易々と引き離す。
「あ〜!左之!この裏切り者〜!!」
「だって俺が世話になってんのは近藤さんだも〜ん」
喚く土方に原田が舌を出す。
歯噛みして足をバタバタさせる土方を羽交い締めしている近藤が斎藤を奥の部屋に運ぶように指示を出した。
「近藤さん!こんなやつ追い出してくれ!!」
「まぁ、まぁ。ちゃんと誤解を解いてやれ」
「そんなもん、解いてやる必要ねぇ!」
土方が女と間違われるのはいつものことだ。
今では背も伸び、体格もそこそこ出来上がったから減ったのだが、子供の頃など女の子としか見られたことなかった。
顔が整っているからだ、と近藤は逆に羨ましいと言うのだが、小さい頃からそれがコンプレックスである土方はちっとも嬉しくない。
しかも今回は、女に間違われた上にキスまでされてあまつさえプロポーズまでされたのだ。
男としてのプライドを傷つけられた事この上ない。
「そうでさぁ!俺のもんに手ぇだすなんて不逞野郎ですぜ!!」
原田に押さえつけながら叫ぶ沖田に土方は頷きかけて、ハッと我に返った。