銀時×土方

□愛の在り処 6
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気が付くと、もう日が翳っているのか、部屋の中は独特の逢う魔が時の様相で土方は首を捻る。
何故自分はこんなところで横になって、こんな時間まで寝ていたのだろう?
何気なく体を起こそうとして、走った激痛に呻き声を上げながらそのままもう1度ソファーに撃沈した。

 な、なに・・・?

自分の身に何が起きたのか、一瞬わからなくて土方は混乱に陥る。
そしてすぐに、先程までここで成していた行為を思い出し途端に顔色を失った。
神聖であるべき学校内で、こともあろうにこんなことに耽るとは・・・
しかも相手は男だ。あれは同性同士でやることではない。そんなことは動物以下がすることではないのか?
こと、恋愛に関して疎い土方は男同士で、しかもあれだけ善がりまくった事まで思い出し目の前が
真っ暗になった。
とりあえず、ここを出て、家に帰らなければ・・・。
そう思って立ち上がろうとするのだが、途端に走る激痛に顔を顰める。
今度はゆっくりと、なるべく体に負担を掛けないように起き上がる。
何とかソファーに座った瞬間、足の間に何か甘温かいものが流れてギョッとする。
見るとそれは白濁したもので、すぐに銀時の残滓だと理解した。
同時に激しい吐き気に襲われる。
バッと口元を塞いで、準備室に備え付けてある洗面所まで痛む体をどうにか叱咤し向かった。
いつもなら意識さえしない距離なのに、今日はとてつもなく遠い。
どうにか辿り着いて、水を勢いよく出しながら嘔吐した。
出てくるものは何もなく、胃液だけなのが余計に苦しい。
全てを吐き出し、ようやく嘔吐感が無くなって顔を上げると鏡に自分の顔が写っていた。
泣き腫らした赤い目の自分がいる。
視線を少し下にずらすと、銀時につけられたであろう赤い所有の証が見るも無残につけられていた。
手首はネクタイで締められていたため、真っ赤に擦り切れている。
痛い手首を擦りながら、不意に瞳に熱いものが溢れてきた。
それをどうしても堪える事ができず、土方はただ体を震わせながら涙を流す。
こんなつもりではなかったのだ。
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