リクエスト 1
□フェティシズムな彼 3
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結局その日は神楽が待っているということで、銀時は帰宅することにした。
それでも鼻血がようやく止まった後に、1つのケーキ(もちろんホールだ。お互い出してたケーキを
食べてからまた土方が新たに出したときにはこの細い体のどこに入るのか、心底吃驚した。)を
2人でつつきながら、どこのケーキが美味しいだの、どんなケーキが好きなのかだの、
和菓子も美味しいだの、まさにフェチならでは会話が延々と続いた。
土方はようやく語り合える相手を見つけたせいか、熱く語るその頬は綺麗な桜色に上気して、
またもや銀時の鼻の粘膜は危険ゾーンに突入する。
何でこんなに可愛いんだよ〜!!
銀時には嬉しい悲鳴だ。
しかし、それに反して拷問かもしれない。
鼻の粘膜もだが、そろそろ下半身もヤバイ。
まさか押し倒すわけにもいかないだろう。
自分も土方も男だ。
例え自分の自慢の息子が現在絶賛自己主張中であったとしても、銀時は無視をすることにした。
自分は男か好きなわけではない(・・・なはずなのだが、今は声高にそう叫べないところが
非常にまずいかもしれない)。
なにより、こんな無邪気に懐いてくれている彼をそんなことして失いたくなかった。
だから本当は神楽のことは口実だった。
これ以上土方の傍にいたら自分の理性を保っている自信がなかったのだ。
しかし、そう土方に告げると、途端に寂しそうな顔をするから銀時は罪悪感に駆られた。
それでもやっぱりこれ以上は無理だ。
それでなくてもこよりほどしかない理性を今までにないほど総動員している状態なのに、
これ以上一緒にいるとぶち切れて襲いかかる自信が200%ある。
おまえの為なのに、そんな目で見るなぁ!
まるで捨てられた子猫のように頼りない瞳ですがりつかれるように見つめられ、銀時は身悶えた。
どうしよう、と冷たい汗が背中を伝う。
く、喰っちまうか?!
そう耳元に囁く悪魔の声が聞こえる。
正にその声に身を任そうとした刹那、天使の声がした。
「万事屋」
土方の耳障りのよい声が聞こえる。
今までそんなこと思ったこともないくせに、今聞くと天使の歌声だと思う銀時はかなり
現金な性格をしていた。
「万事屋じゃねぇよ。銀時だ」
うっとりとそう言うと、土方はうっ、と詰まりその白皙の頬を紅潮させた。
その鮮やかな変化に、銀時は目を瞠る。
なんてことしてくれるんだぁ!このやろー!!
痛い。息子がマジ暴れん坊将軍と化して、ズボンから飛び出したがっていた。
それでも何とかそれを意地で押さえ込む。
「で、でも・・・」
「俺がそう呼んでほしいんだよ」
にっこりと微笑んで(かなり引き攣っていたが)そう懇願すると、土方は恥ずかしそうに上目遣いで
「ぎ、ぎんとき・・・」
などと言うから、もう銀時は堪えきることができなくなった。
「ひ、土方!トイレ貸して!!」
切羽詰まった顔に土方は、ことんと首を傾げてながら場所を教えてやった。
銀時はまたもやそれにKOされながら、教えてもらったトイレに駆け込む。
「なにもそこまで我慢しなくてもいいのに・・・」
首を傾げながら不思議そうにそう言う土方は、原因が自分だとは露とも思っていなかった。