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□たとえ私が居なくなっても
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ある晴れた日。
彼は言った。


「どうして空は青いのか」


そんな疑問は私も問いたいほど分からない。
空は青く澄んでいて。
何にも捕らえられない程に大きく私達を包んでいる。


「竹中さん、」
「何だい?」
「この空は私達に独りでは無いことを教えてくれているんじゃないですか?」
「それは面白い」


彼はそう笑った。
信じがたいとでも思っているのだろう。

それでも私は話を続ける。


「だってこの空はどこまでも続いています」
「そうだね」


竹中さんは何が楽しいのかクスクスと笑う。


「だから、竹中さんは独りじゃありません」


そう言って彼に微笑めば彼は吃驚したようで目を開いていた。


「君は…」
「私が居なくなっても寂しくありません」


ずっと貴方の側に居ますから、と続けた。


「だから、笑ってください」


たとえ私が居なくなっても
(寂しくない)
(皆貴方を見守っている)
(彼の瞳が潤んでいる気がした)
(ほら、笑ってください)

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