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□想いよ届け
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今日も私の視界には上司の阿伏兎さん。
戦っている姿はもちろん普段もかなりかっこいい。
真面目で面倒見がよくて頼れる大人、だ。


「かっこいいなあ…」
「ふーん、阿伏兎が?」
「そうそう」


ってん?


「だだ団長っ!」
「随分と大きな独り言だネ」
「私…どこから口に出してました?」
「戦っている姿は、からかな」


ほぼ最初からか…
なんて馬鹿なことしてるんだろ。


「ちなみに阿伏兎も聞いてたヨ」
「へ?」


団長の後ろに居ました。阿伏兎さん。
さっきまで私の視界の中だったのに!


「あ、阿伏兎さん?」
「よう…」


少し困ったように笑う阿伏兎さん。
大失態だ。

そしていつの間にか団長は居なくなっていた。
あの裏切り者!


「あああ、阿伏兎さん」


あんな私の独り言を聞いていたのに以前と変わらず笑顔で何だ?と問いてくる。


「すっ、好きです」


ついに言ってしまった。


「ああ、知ってる」


ですよねー。
私の独り言聞いてましたもんねー。


「こんなおじさんでいいのか?」
「え?」


予想外の回答にぽかん、と口を開ける。


「お前も運が悪いなあ…。こんなおじさんに好かれちまって」


開いた口が塞がらないとはこういう事をいうんだ。


「阿伏兎さん?」
「俺も好きだ」


年齢なんて関係無い。
大好き、大好き、大好き!

つい嬉しくて彼に抱きつくと彼は優しい笑顔を見せた。


想いよ届け
(彼の笑顔につい我慢できなくなり)
(彼の頬に唇を落とした)
(大好きです、阿伏兎さん)
(ああ、俺もだ)

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