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□君への最後の贈り物
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「少し、時間をください」
願いは無いかと聞かれ、そう願った。
こんな僕に願いを聞くなんて可笑しすぎる。
きっと、もう牢獄からは出られないと踏んでいるんだろう。
彼女に、もう一度だけ、会いたい
「骸、さん?」
貴方はいつも同じ笑顔で迎えてくれる。
これが最後になるとも知らずに無邪気な笑顔でまた、
「僕は、君の事が好きです」
「え?」
「好きなんです」
そっと彼女を抱きしめる。
最後なんだ、これぐらい許してください。
勘の良い彼女は何かを悟ったのか何も言わない。
「・・・私も好き、でした」
そう言った笑顔はやけに哀しそうで切なくて
「 」
離れても君を守りたい。
そう願う僕を許してください。
ああ、これだけは、許して
君への最後の贈り物
(たとえ近くに居なくても)
(僕が守ります)
(必ず、)
(迎えに来ますから)