Other
□戦闘準備
1ページ/1ページ
「僕が勝つことは、絶対だ」
彼は言った。
冗談に聞こえない、いや、冗談にならないというのが、赤司のなせる技だろうか。
「…………せいぜい、頑張ってください」
「他人事のようだね」
「君は言いました」
テツヤ。
お前は、絶対に僕のものになる。
恋愛においても、勝ち負けは存在するのだから。
「僕も断言します。僕が君に落とされることは、万に一つ無い」
「強がっているな」
「………失礼します」
「待て」
去ろうとした黒子の手を、赤司は引っ張った。その勢いを殺さず、自分の胸に黒子を閉じ込める。
無表情を崩した黒子。
文句を言うために口を開こうとするが、できなかった。
「テツヤ」
くすくす。
可笑しそうに、彼は笑った。
黒子の額に、自分のそれを押し当てたまま。
「テツヤ、顔が赤い」
「違います!君の前髪がくすぐったいからです!」
「どんな理屈だ?」
「もういいです!」
黒子は赤司を押しのけ、今度こそ立ち去った。
その背を、彼は不敵に見送る。
「僕は君を手に入れる。それは、絶対だ」
H23.4.25