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どこまでも
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「マジバがいいです」

「コンビニ」

「マジバ」

「コンビニ」

「いつまでこの不毛なやりとりを続けるきですか」


放課後の生徒玄関にて。
二人は寄り道の場所でもめていた。

黒子はマジバで恒例のバニラシェイクが飲みたい。対する青峰はコンビニでアイス。
二人の意見は似通っているようで、交差していた。


「青峰くん」

「お前が諦めるまでだ」


ちなみに黒子は頑固で諦めが悪い。
つまり、このやり取りは収集がつかないということだ。


「じゃあ、別々で行きましょう」


なにも、一緒に行動することもないのだ。
そう黒子が無難な答えをだせば、青峰に殴られる。

頭を押さえる黒子。
避難がましい視線は、図太い神経の青峰には効かない。


「行くぞ」

「………どこにですか」


それに、青峰は答えなかった。
黒子の手を力強く引き、黙々と進む。


「―――だろ」

「え?」


ぼそぼそと言われた何か。
聞き返せば、不機嫌そうな顔が振り返った。


「光と影が別行動とか、ありえねぇだろ!」


また、そっぽを向く青峰。
そっけない彼の耳は、真っ赤だった。


黒子はこっそりと笑う。
その気配は相棒には伝わってしまったようで、また、殴られた。

今度はじゃれあいに似たそれに、黒子の表情がほころぶ。


「君は素直じゃないですね」

「お前は性格が悪い」

「失礼な。性格が悪くて、素直じゃないのは、君でしょう?」


連れてこられた目的地。
その前で二人は立ち止まり、顔を見合わせる。


「…………俺にも奢れよな」

「仕方がありませんね。特別ですよ?」









天邪鬼な君。
そんな君と目指す場所なら、本当は。


どこだっていいんです。









H23.4.1


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