REBORN!
□平等欲求
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やってしまった。
綱吉は自分のとった行動に、心底後悔した。
「……綱吉」
どういうつもりだ。
言葉にせずとも、鋭い視線が問い詰めてくる。
「………」
「僕とするのは嫌ってこと?」
違う。
綱吉はそう言おうとしたが、言葉がうまくでてこなかった。
なので、必死に首を横へ振る。
「だったら、どうして、辛そうだったの」
雲雀は綱吉をいつものように押し倒した。だが、綱吉の顔が辛そうに歪んだのだ。
「どうして拒んだの」
嫌われた?
そんな不安に耐えられず、雲雀は綱吉の上からどこうとした。
「っ、つなよし…?」
震える小さな手が、しっかりと雲雀の袖を握っている。
そっと握り返してやると、綱吉は涙をぼろぼろとこぼした。
「−すきっ、だいすき、なんで、す」
漆黒の瞳が驚きで見開かれた。
綱吉が、恥ずかしがって滅多に言わない言葉を、今、必死に伝えようとしている。
「…不安なんです…!ヒバリさんは、俺で性欲処理をしたいだけなのかもって」
日常化しだした情事。
雲雀がもとめているのは、心か体か。
体だけだったらと綱吉は不安だった。
綱吉の言葉に、雲雀はきゅっと胸が締め付けられるような感覚がした。
愛しい。愛しい。
なのに。
「ごめん、綱吉」
ぎゅうっと力一杯、細身の体を抱きしめた。
想いが少しでも綱吉に伝われと願いながら。
「愛してるなんて言葉じゃ足りないくらい、君が大事だよ」
「ヒバリさん…?」
「だから、すぐに綱吉の全てが欲しくなる」
笑顔や泣き顔。言葉に行動。
どれも、雲雀の欲求を募らせるものだ。
「君が僕をおかしくさせるのもいけない」
「な、なんですか、ソレ…」
綱吉は思わず笑ってしまった。
すると、むっと雲雀が拗ねたように顔をしかめる。
「君は僕を振り回しすぎだ」
「…それって、すごいことですよね?」
「うん。でも、不公平じゃない?」
綱吉は首をかしげた。
何が不公平なのだろうかと。
「僕の全ては君のモノでしょ。だったら、君も頂戴」
綱吉の全てを
END
H21.9.12