REBORN!

知らなくていい!
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「おい、ダメツナ」


「なんだよ、リボーン。俺、今忙しいのに」


書類に向ける視線はそのまま、家庭教師の言葉に返事を返す。

今日中に終わらなかったら、俺の命がないからね。



「かなりレアなものが見れるぞ?」


「……?」


リボーンの意味深なセリフに、しぶしぶと顔を上げた。


そして、


「っ!?」


俺は絶句した。





知らなくていい!






満足そうにリボーンが笑む。


しばらくして、ようやく落ち着き、リボーンの隣に立つ人に尋ねた。


「……あの、どちらさまですか?」


「こんにちは。ドン・ボンゴレ。私は風(フォン)といいます」


以後、お見知りおきを。

そう言って、爽やかスマイルとともに差し出された手。


慌てて、

「はじめまして。えっと、沢田綱吉です」


とぎこちなく手を握り返した。

すると、一層爽やかさが増した笑みになった。


知らずのうちに、ぽかんと魅入ってしまう。



「そんなに雲の守護者と私は似ていますか?」



風さんは、俺が驚いていると思ったらしい。
クスッと小さく笑われた。
ハッと我に返ったが、言葉がでてこない。
俺の代わりに、リボーンが頷いた。


「生き写しのようだぞ。声もそっくりときてるしな」


「へぇ、一度見てみたいな」


「アジト以外でな。これ以上、屋敷を破壊されてたまるか」


「沢田さんに迷惑がかかってしまうなら、気をつけるよ」



風さんの言葉に、じーんと涙がこみあげる。
毎日毎日、飽きも懲りずもせずに、内戦三昧のボンゴレ。


屋敷の修繕費は馬鹿にならないんだぞ!



「あ、ありがとうございます!!」

「!」


お礼を思わず言うと、風さんは驚いた表情を見せた。

あれ、なんか変なことでも言ったかな?


「話に聞いていた通りだよ、リボーン」


「はなし?え?」


なんのことだ??



「沢田さんは誠実な人で、優しくて、寛大。そして、天使にも勝る微笑をお持ちだと伺っています」


いやいやいやいや!!!


「そ、そんな嘘、誰が!!」



獄寺君か!?でも、知り合いではなさそうだし…

そして、風さんは思いがけない名前を出した。


「イーピンです。いつも沢田さんのことが手紙にかかれていますよ」


「イーピンが…」


そんなふうに思っていてくれただなんて……。

うれしい……。



そして気づいた。


「てことは、イーピンの師匠!?」


「今更何言ってやがる」


それにコイツ、アルコの一人だし。軽い感じでリボーンが言った。


「いつもイーピンがお世話になっています」


「い、いえ、こちらこそ、彼女には助けてもらってばかりで…」


情けない話だ。


「謙遜しないでください。あなたは十分、胸を張ってドンを名乗れる方だ」


「っ、そう、言って頂けると嬉しいです…」



出会って間もない人。

だからこそ、すんなりと言葉が心に落ちた。
親しい仲では、こうはいかない。


リボーンが笑んだ。



「さ、ボスは仕事を片付けねーとな」



おそらく、俺と風さんを合わせたのは、リボーンなりの気遣いだったのだろう。

ほんと、飴と鞭の使いわけが上手だよな。



「よっしゃ!がんばるかな!」


ぱんっと頬を叩き、気合をいれる。


「お前はどうする?」

「何がだい?」

「だから、泊まる場所だよ」



どうやら、ホテルの予約をしていなかったらしい。

その日に部屋を取るのは難しいかも。


「よかったら、ここに泊まっていきませんか?」


「そ、そんな、これ以上お手間をとらせるわけには!私は野宿になれていますので」


「ボスがいいって言ってんだ。遠慮することはないぞ」



リボーンとなんとか風さんを説き伏せ、屋敷に泊まってもらうことにした。




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