REBORN!

限りなく幸せに近い現状
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限りなく幸せに近い現状







「同じ香りがするね」


掛け布団ごと綱吉をぎゅっと抱きしめる腕。
雲雀の表情はどこか嬉しそうに笑みをかたどっていた。


「一緒にお風呂はいったからかな」

「同じもの使ったからです!」


もぞもぞと掛け布団からだした顔は、ほんのり桃色に染まっている。


「照れなくてもいいのに。もっと恥ずかしいことするんだから」


「何する気ですか」


修行があるからダメです。
そう綱吉にキッパリと言われ、雲雀は眉を寄せた。


「………バカ綱吉。いいよ、別に」


拗ねて悪態はついたが、素直に諦めたように見えた雲雀だった。

よしっ!と綱吉が思ったのもつかの間。


「ぐえっ」

「抱き締めるから、君を」


言葉の通り、凄い力で細い体を抱き寄せた。
苦しそうに呻く綱吉などお構いなしだ。


「ちょ、ギブ!むぎゃっ!?」

「煩いな。ほら、寝るよ」

「ヒバリさーん!起きて!!」


綱吉は痛みに堪えながら、広い背中を叩いた。

「…………」

すっと力が抜けた。
優しく包み込むような手つきに、綱吉は安堵の息を吐く。


「俺、こっちの方がいいです」

「……うん」

「でも、寝相が悪いからヒバリさんにアザ作ってしまうかも」


「それでもいい」





だから傍にいなよ-----





肩口に顔を埋め、小さく呟かれた言葉。
それに綱吉は笑みを深めた。


「はい。傍にいます」


ずっと、は無理だとお互いが理解している。
それでも、雲雀は今だけでもと願ったのだ。


いつもはなんとも思わない香りも、今は眠気を誘う。


「----だね--」



「………はい」






幸せです---


END

H21.7.22


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