REBORN!

涙などなければいいのに
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リボーンは冷め切った紅茶を喉に流しこむ。
苛立った感情を抑えるほどの味はないが、気休め程度にはなった。


「珍しいね。リボーンが表情を表に出すなんて」


掛けられた声に、リボーンは眉間を寄せた。


「…んなこと気にしてねーで、さっさと書類を仕上げろ」

「はいはい。仰せのままに」


綱吉はリボーンに促されるまま、書類へと視線を再び落とす。
そんな彼を見据え、リボーンは深いため息をついた。


迷い。
それがリボーンへ精神的疲労を与えた。
言うまでもなく、雲雀に言われたことを気にしているからだ。


何度目か分からないため息をつき、リボーンはソファーに倒れこむ。
考えることを止め、眠りにつこうといした。迷いが断ち切れていることを祈って。

その矢先だ。


「――…俺もこれでいいんだ…」



綱吉の声に、リボーンの瞳が驚愕に見開かれる。
核心をつくような言葉。リボーンは少なからず動揺した。

そんな彼へ、さらに綱吉は言い重ねる。



「リボーンの考えは間違っていない。そうだろ?」

「――…あぁ。誰が何と言おうが…俺は言い続ける」


泣くな。お前はボスなんだ。
弱みを見せるな。お前はボスなんだ。

強くあれ。お前は――俺たちのボスなんだぞ。


「…言い続ける、お前に」

「うん。それでいいんだ」


綱吉は椅子から立ち上がり、リボーンの隣に座りなおす。
うな垂れたままの家庭教師に、綱吉はしょうがないなと苦笑を洩らした。



「まったく。そんなんじゃ、俺との約束守れないだろ」

「……お前に言われなくてもわかっている。落ち込んだフリだ。真にうけんな」

「うわっ、可愛くない!赤ん坊の時は……いや、まんまか…」

「ほぉ、あんな愛らしい俺に、よく言えたな」


いつもと変わらないリボーンに立ち戻った彼は、綱吉の鼻を長い指でつまむ。
そして、ニヤリと意地悪な笑みをうかべ、痛みに耐える綱吉を堪能した。




END


『その代わり、俺はお前のぶんもファミリーを守る』

『お前の弱みは全て、俺がカバーする』

『お前が強くあれるよう、俺が鍛える』



俺の残った人生を、全てお前にやろう――…


H22.1.7



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