銀魂小説

□回帰転生
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 ―――フラッシュバック―――

 ―――走馬灯―――

 ―――生前の世界と死後の世界―――

 ―――生きていた時代と、生きている時代―――

 ―――切なさと悲しさと苦しさと辛さと痛みと怒りと憤りと憎しみと怨みと絶望と失望と―――それから、―――それから、―――それから、―――それから、―――それから、それから、それから、それから、それから―――――深い深い、深い闇――と――― 真 っ 紅 な 血 。










 いつの間にか、涙が溢れて止まらなくなっていた。
 あの頃の俺達は、こんなにも負の念に取り憑かれて、こんなにも負の感情に支配されながら、変わって行くのを止めない世界を必死に止めようともがいていたのだろうか。たった1人の恩師(アノヒト)の為に。

「……銀時…」

「…っ高杉、お前…」

「…大丈夫、だ……あれは、俺達じゃねぇ…今の俺達じゃ、ねぇ…から…」

 くだらない喧嘩で無くした左目から、溢れ出るものは無く、左目ごと頬を包み込む銀時の右手に自分の左手を重ねた。ますます溢れる涙は止まらなくなった。温かくて、優しくて。

「…俺よりも、…銀時の、方がっ…」

「関係ねぇよ…誰が一番辛、かった…とか、…関係ねぇよっ…!」

 そのまま晋助の肩ごと抱き締めた。暖かかった。やっぱり涙は止まらない。
 彼等の魂には、彼等の人生一代だけで、重たい何かがギッシリと刻まれていた。





 彼等は俺達に生まれ変わって、俺達はその魂を受け継いでいて、魂の中には彼等の記憶が刻まれていて、また俺達の記憶もこの魂に刻まれ誰かに受け継がれて、どこかの時代に生まれ変わる。もしかしたら、時代ではなく世界かもしれない。

 そして、俺達がこうしているこの瞬間と何百年前のこの瞬間と何百年後のこの瞬間は、常に同時進行している。つまり、彼等が生まれた瞬間と俺達が生まれた瞬間と、俺達が生まれ変わる誰かが生まれた瞬間は、各時代で同時に起こっているということだ。そしてそれは『永遠回帰』と言うよりは『輪廻転生』と言った方が当てはまるのかもしれない。
 例えば、地球Aのある時代が彼等が戦場を駈けていた世界なら、俺達は地球Bのこの時代で普通の人間として居て、そして、地球Cのいつかの時代には俺達が生まれ変わる誰かが、きっと俺達が見たことの無い何かがあるのだろう。



 そしてその後、何かを悟りかけた彼等を、言葉では表しようのない何かが胸をいっぱいに満たしていた。
 そういえば、俺達以外のあの2人も、彼等の記憶を見たのだろうか。2人は立ち上がり、もうすっかり昼休みになろうとしている校舎の中に戻っていった。

























 地球を飛び出し時代を超えて、ある星。そこはとても技術の発達した機械的(デジタル)な星。
 自家用車(ベロモービル的な)から降り立った、スリム化されているパイロットスーツにヘルメットをかぶった人物。ヘルメットにはスモーク加工されていて顔は見えない。
 そこは、どこの時代にも世界にもある、薄暗い路地。結構広く、5〜6m程の幅はある。しかし、路面いっぱいに広がっているのは艶やかな血。その暗闇の先に立っている人物は同じようにパイロットスーツにヘルメットをかぶっていて、手には銃が握られている。ヘルメットを取りその人物に声をかける。

「…屍を食らう鬼が出ると聞いて来てみれば、………君がそう?また、ずいぶんと―――――」



































終。




 
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