FF小説
□ともだちイジョウ恋人ミマン
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神聖な秩序の聖域に、黒いオーラが月の騎士から立ち込めていた。
「なんだかあの2人のイチャイチャ度が増したね。……こっちはノーマルだっていうのにね」
とても素敵な黒い笑顔で言った。
太陽は月の騎士の言葉に賛同し、こちらはいらついた笑顔で言った。
「そッスね。向こうの2人のイチャイチャ度も増したように見えるのは気のせッスか?」
「きっと気のせいじゃないよ」
2人共、相変わらず黒い笑顔のままである。
「そっか。俺正常か。……セシルはブラコンでヤンデレッスけど」
「うん。君はファザコンでツンデレだけどね」
何故かイライラの標的がお互いに向けられ、毒の吐き合いのようになってしまっている。もはや最初の話題は関係ない。
と、そこに風がのばらを引っ張って走って来た。
「お〜いセシル〜!!のばらがセシルのこと好きだってよ!!!」
「なっ……!!ちっ違う!そういう意味で言ったんじゃないぞセシル!!おいバッツ!!!」
月の騎士と太陽は、風をフルボッコにした。のばらは明らかにとばっちりだ。 おいBT!!なんで俺よりKYなんだよ!!! えぇっ!?なんで!? 僕はノーマルだって言ってるだろ!!! だからそういう意味じゃない!!
BTは『バッツ』の略じゃない。『場違い』の略だ。
いっぽうそのころ。イチャイチャカップル二組。スコクラ組。
チョコボ頭が獅子に話しかける。
「おいSS」
「なんだSSって」
「獅子の略だ」
「一々略さなくていいだろ(腹立つな。むしろ略さない方が言いやすいだろ)」
「あ。今腹立つとか思っただろ」
チョコボ頭のわざとらしい言い方に余計腹が立つ。
「「……別に」」
「だろ?」
わざとかぶるように言ってきたのはイラっときた。
「で?何の用だ」
「昨日、オニオンと話してただろ?何か相談事だったりしたか?」
「…あぁ。何でだ?」
チョコボ頭はおかしそうにクスリと笑った。
「実は、俺のところにはジタンが来ていたんだが、内容が恋愛相談だったんだ」
「……そう言えば、オニオンも恋愛相談だったな」
「ジタンについてだっただろ」
「あぁ」
チョコボ頭はますますおかしそうに笑った。
「こっちはオニオンについてだった。ルーって言ってた」
「あいつらは行動がシンクロするほど両想いなのか」
「……俺達は?」
「……タイミングがシンクロしてるのか……?」
一体どんなシンクロの仕方だろうか。
ジタオニ組。
何故かおいかけっこが始まっていた。
「いいかげんしつこいぞルー!!」
「ねぇジタンいいでしょ?少しくらいさぁ!絶対にギュッと強く掴まないからさぁ!」
少々青ざめて逃げる尻尾の少年と、目を輝かせてそれを追う小さい少年。いろんなところを飛び跳ねたり回り込んだり、アクロバティックな動きをしている。
「ダ・メ!!」
「お願い!!尻尾触らせてよぉ!一回だけ!!」
「ダメなものはダメっ!!!」
断固として拒否し続ける尻尾の少年に、必殺を繰り出した。
「ねっ……一回、だけ……ダメ?」
上目づかいで首をセシル角度に傾げ、ウル目。ちょっとヤらしく聞こえたのは気のせいだろう。詰まる尻尾の少年は、しばらく耐えていたが、深いため息を吐いた。
「……しょ〜がねぇな〜。一回だけだからな?あ、根元を掴んだり強く掴んだりするなよ?;;」
「やったぁ!ありがとうジタン!」
「……っ!!///」
飛びっきり愛くるしい笑顔で、素で飛びついてきた小さい少年に胸をときめかせた尻尾の少年は、この後小さい少年を想う気持ちと自分のアブノーマルな部分のショックに挟まれ苛まれることだろう。
「……何かな?あのツー・バカップル」
「……俺、ブリッツやってきていいッスか親父を的に」
さらにどす黒いオーラを撒き散らしている月の騎士と太陽。そして、こりもなくKYを発揮する風。
「いやあ〜楽しそうだな!!俺達もやろうぜのばら!!」
「……お前は……;」
のばらは深いため息を吐いた。そして、やっぱり2人は風をフルボッコにした。
平和。この一言に尽きる。
終。