FF小説
□博愛主義者なlovely boy.
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「あのねぇ君たち。さっきから何大きな声で叫んでいるの?丸聞こえ。騒音被害。」
現れたのは、先輩でありジタンの兄であるクジャだった。ブラコンでありナルシストでありサディストである事で有名である。飛んでいたらしく上から降りてきた。
「…げ。メンドクサイのが来た…」
「何か言ったかい?ジタン」
「いやあべつに」
降りてきたクジャは、宙に浮いたままジタンに背後からくっついてきた。そしてそのままマシンガントーク。
「だいたいねぇ、スコール君にティーダ君。ジタンは僕のかわいい弟なんだから、そう簡単に手を出すものじゃないよ。それにさっきからなんで間接キス押しなんだい?そんな事言ったら僕なんてほぼ毎日間接キスしてるようなものだよ。ご飯の時でもデザートの時でも味見の時でもあ〜んしてるからね。それからスコール君、覚えておきな。…後で石仏にしてあげるからね…。それと、2人に言っておくけど」
「「…?」」
「僕がジタンを一番愛していて、ジタンは僕を一番愛してるんだからね!」
・・・・・・。
…凄い。何が凄いって、マシンガントークもだが、ナルシストぶりが凄い。しかし、この過剰な自信が彼の成績として表れている訳で、しかもその自信過剰による失態が無い程の実戦実力者であるのだ。…ただ、弟を愛し過ぎているだけ。うん。ただそれだけなのだ。
「ねぇ、ジタン?」
「いやもうわかったから毎日聞いてるから」
ジタンは若干ウンザリしたようにクジャの顔を押し返す。しかし、ここで黙っている2人ではなかった。
「ちょっと待った!」
「俺達だって、ジタンのことが好きだ」
「そうッスよ!いくら先輩だからって、好きな人をとられるのは我慢ならないッスよ!!」
「ちょっと、待て」
止めに入ったのはジタンだった。
「ぇぇ〜と。…何?お前ら、俺のこと、…好きだったのか…。……初耳なんだけど」
サーッと青ざめる2人。
今まではずっと悪ふざけだと思っていた事は、もしかして全て自分へのアピールだったのか。
「やっぱり常日頃から愛を囁いている僕が一番「ちょっと黙って」フブッ」
ビンタ。兄に容赦ないジタン。
確かにスキンシップが少々過ぎるとは思っていたが。
「…黙っていて、すまなかった。何というか…普通じゃないとは、…わかっていたから…」
「さ…さっきのは、つい…。それに、スコールも悪乗りしちゃっただけだし…。でもっ、ジタンが好きなのは、俺もスコールも嘘じゃないんッス!」
「………なる程な。ありがとな、2人共!」
ジタンは少し照れくさそうに、笑顔で言った。
「でも、あんまり自分を責めちゃダメだぞ?好きに男も女も関係ないんだから」
「…ジタン」
「…よく僕の前で告白なんて出来るよね…。ところでジタン」
なんだかいい雰囲気になっていたところに、クジャが切り出した。
「実際のところ、どうなんだい?君は誰が一番好きなのさ?」
「…ジタン、教えて欲しいッス」
「…あ〜…俺は…」
言いずらそうにされると更に緊張するというもの。息をのまずにはいられない。
「…俺、…みんな大好きだ!」
「「………は?」」
「…やっぱり」
ジタンの満面の笑みの発言に目を丸くしたのはスコールとティーダ。クジャはなんとなくわかっていたらしく、溜め息混じりに呟いた。そりゃそうだ。毎日愛の告白をしているのだから。そうでなくても家族なのだ。
そして、更に目を見張るような発言が。
「実は俺、博愛主義者でバイなんだ」
「「……。…ハァ!?」」
「なんと言うか、鳥とか虫とか蛇とか猫とか…etc、この世の生命体に愛しさを感じるんだよな〜!もちろん、スコールにもティーダにもクジャにも!」
「・・・・・・・・・。」
…あの兄にして、この弟有り。自己愛主義者の兄がいれば、博愛主義者の弟がいる。この世はまだまだ不可解である。
相変わらず平和な学園内での闘争は、終わってはいなかった。
「ジタ〜ン!今日のスポーツ大会のブリッツ、見に来て欲しいんッスけど!!」
「ジタン、俺の柔道見に来てくれるよな?」
「ジタン!僕の魔法弾ドッジボールだよね!!」
勢いそのままに押し寄せてくる3人。ティーダはわかるが、スコールのまさかの柔道。そしてまさかのドッジボール。しかも球型魔法弾。死ねる。
ジタンのお返事は。
「悪ぃ!その時間帯は委員会の仕事とアクロバティックバスケだから!ゴメンな〜!!」
「…………。」
ザ☆ドライ。忙しそうに走り去ってしまった。
もう一度、言おう。
彼=ジタンは、
博愛主義者である。
ここポイント。テストに出るから。
終。