FF小説

□魂、命、イノチ III
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 2人のテンシ。金と銀。太陽と月。ただ一つの共通点は、『光』と言う事。全てを照らす光と、仄かに射す一筋の光。





 とあるチョコボの森。少し広い、遊ぶにはちょうどいい場所で、1人のジェノム。


「よっ、っ、ほっ、おっと、ほっ、それっ!おりゃあ!!」


 ボールでリフティングとヘディングを何度か繰り返し、それをギャップを目掛けて蹴り上げ、オーバーヘッドキック。


「――って〜――ョコボが―――、――って!も〜かわぃ うあぁっ!」


 側の茂みに打ったはずが、少し力み過ぎたみたいで、2・3本の木の枝を折ながら、ボールはかなりなスピードで落下。そして、チョコボを追いかけていたらしい人物に直撃。クリティカルヒット。


「えっ、何事!?ッスか!?」


 こっちもビッグブリッジ!じゃなくて、ビックリ。あっちもビックリだけどこっちもビックリ。慌てて茂みを掻き分けて行くと、


「〜〜ぃった〜…」


「………ぁ。」


「…あ。」


 まさにバッタリ。


「君は、「お前っ…!」わ…!」


 ボールが直撃した後頭部をさすりながらへたり込んで話しかけようとすると、いきなり腕を掴まれて引っ張り上げられた。


「何っ…!」


 すごい形相で掴まれたものだから、攻撃を食らうかと、腕を引き離そうとしたが、離すどころか今度は両肩に手を置かれた。


「………会いたくないけど、今、すっっごい、会いたかった〜……」


「……は…え?」


 小さく呟いたかと思うと、抱きつかれた。と、何故か安心した。お互いは敵同士。でも、懐かしいような、苦しいような…変な感じがした。


「…あ〜……なんか、苦しい…けど、安心するッス………」


「え。」


 自分と同じ思考回路にわぁお。同時にキュン。


「あ〜すっきりした〜!和んだ〜!」


 ガバッと頭を起こすと、本当にすっきりしたように伸びをする。
 でも、きっと彼は、まだ色んな事が整理しきれてないんだと思う。自分と同じように。


「――――……そうか、」


「?」


 今まで感じていた違和感、懐かしさや苦しみ、心の安らぎに、はっとした。


「――何かが足りないと思ったら、……君だったんだね…ティーダ……――」


「…ぅえ?…セシル…?」


 今度は彼を抱き締める。


「…………ホントだ。あったかいッス……」


 抱き締められて、はっとした。暖かい心を寄せ合うように、冷たい背中に手を回す。


 真実を知った今では、敵同士なんて問題では無い。世界を闇に陥れようと、自分達を生み出した悪こそが、今の自分達にとっての敵だった。それに―――――





 全てを照らす光と、


 仄かに射す一筋の光。


 ただ一つの共通点は、


 『光』ということ。


 太陽と月。


 金の光と銀の光。


 2人の天使。





 2人で、テンシだった―――――。









 
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