FF小説
□青春☆とるねぇど!
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キーンコーンカーンコーン−…
音楽室にて。
「――…ティーダ、ちょっと…いいか?」
授業終了後、ティーダとクラウドは音楽室に残っていた。窓際の席で窓を全開にして涼んでいる。
「…………」
「…………」
お互い無言のままで時間が過ぎて行く。余計に切り出しづらい状況だ。
「…あの「あのさ!」」
クラウドが切り出そうとしたが、ティーダがそれより大きな声で言う。クラウドが少し目を丸くして顔を上げた。少し困ったような真剣な目をしたティーダと目が合う。
「……、昨日のメールって、本気なのか…?」
声を張った本人が、話題を切り出せないでいるもんだから、クラウドが先を超してしまった。先を超された当の本人は(あちゃー、カッコワリ〜…)とか頭の中で。
「…まあ、その〜…クラウドとメールしてる途中でさ、考えちゃって…それで、気付いちゃった〜…みたいな…?」
恥ずかしいのか、少しおどけて言ってみるティーダ。
そして、間。
「…あの〜…クラウド、さん…?「――…気付かなければ良かったのにな…」
「―――えっ…」
目の前のティーダは目を見開いて丸くしている。クラウドは真剣な目で見つめる。
「――………」
「…そんなこと、一生、気付かなければ、良かったのにな」
ティーダは意味を捕らえきれず、何も言葉にできないでいる。クラウドは、ティーダを見つめたまま、一言一言を淡々と紡ぐ。
「―――俺も、悩むから――」
「―――………え……?」
―“も”って、言った。他に、誰を、困らせたんだ?えっ?っていうか、悩んでくれたの?俺の事?―
「――お前だって、悩んだだろう」
ティーダの頬に触れる。
「たくさん、俺より、悩んだはずだ」
親指で頬を優しく擦るクラウドの手は、少し湿っぽかった。
「―――、クラウド…」
やっと言葉にするティーダ。
「クラウド…返事を、聞いても、…いい、ッスか…?」
不安げで、でもまっすぐに見つめて聞く。
途端に、唇に触れる感触。目の前には、金の長い睫毛。
長時間に感じる触れるだけのキスは、一瞬に感じた。
次第に離れて行く色白な顔に碧い瞳。
「――これが、俺の応えだ」
少し顔を赤くして、ティーダに答えた。
「―え…マジッスか…?」
頷くクラウド。
「俺で、いいんすか」
また、頷く。
「むしろ、俺で良ければ、だ」
クラウドが言ったあと、ティーダは勢い良くがばちょ。
それはそれは、嬉し過ぎてたまらないって笑顔。
――ああっ!!クラウドの言ってた通り、こんな感情知らなければ良かったのに!!
クラウドが言ってたのは、好きって気付かなければ良かったって事なのに。
終。