銀魂小説

□∞な一方通行
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 攘夷軍本部。天気、晴れ。風が少し。所により、代わる代わるでしょう。特に、縁側。










「…あ。よぉヅラ」

「!ぎ、銀時…。…ヅラじゃない、桂だ」

 銀時が声をかけると、一瞬だけ頬を赤くしたが、瞬時に不機嫌な顔になる。どんだけ切り替え早いんだ。

「ほらよ」

「えっわっ…!」

 銀時は懐から小さな紙袋を取り出すと、少々乱暴に桂に放ってよこした。袋の口をとめるために、水色のリボンのシールが貼ってあった。

「ぇ、これ…」

「お返し。今日ホワイトデーだろ?だから、バレンタインデーのお返し」

 ぶっきらぼうな言い方だったが、桂は今、内心天にも昇る思いなのだ。頬を赤くして眼を輝かせている。でも、銀時の本命は――――

「…オイ、銀時」

「あっ…高杉…!」

 ――――そう。銀時の本命は高杉だった。その証拠に、高杉が後ろから声をかけられ、早速乙女モードだ。桂もさっきまでこんな感じだったが。

「ど、どうしたんだ?なんか、用か…?」

「あ〜、その、なんだ。アレ、お返し。バレンタインの。ホワイトデーだろ、今日。ほら」

 ぶっきらぼうなのかしどろもどろなのかよくわかんないが、高杉は銀時に、黄色いリボンで口を閉じてある金平糖を渡した。

「晋助〜!」

 銀時が眼を輝かせていると、桂の後ろから馬鹿みたいに大きな声が聞こえた。

「辰馬…!な、何だよ」

 実は高杉の本命は辰馬。ちょっと睨んでいるが、高杉の場合、所謂ツンデレというヤツだ。その証拠に高杉の周りにピンクの空気が見えるような見えないような。

「ありゃあ…わし、なんかしたかのぅ?」

 辰馬は桂の脇を通り過ぎて高杉の前まで行った。

「別にっ。で?」

「んお?あ、そうじゃった!晋助、ホイ。バレンタインのお返しじゃあ!」

 辰馬はにっこり(高杉にとって)殺人的笑顔を向けて、小箱を渡した。高杉の手もしっかり握って。

「!!!!!」

 高杉はビックリしたのと嬉しいのとで顔が真っ赤だった。天然タラシだ。

「あ。おい、坂本」

 辰馬の後ろから桂が声をかけた。

「おっ!桂さんじゃあ!今日も別嬪さんじゃの〜!」

 そして、辰馬の本命は桂。振り向くとほぼ同時に桂の両手をしっかり握り締めている。

「坂本、手を…」

「ん?嫌?」

「いや、それもあるが、」

「ハッキリ言うがやな〜」

「バレンタインデーのお返しを」

「ホンに!うわぁ〜天にも昇る思いぜよ!」

「じゃあ逝ってらっしゃい」

「あっはっは〜!泣けるぜよ」

 〔かつら は あめだま を ひとつ わたした!〕

「…………。…あっはっは〜…マジで?」





 攘夷軍本部。明日も、所により、代わる代わるでしょう。特に、戦場。










 
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