FF小説
□博愛主義者なlovely boy.
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…確かに平和ではある。平和ではあるが、彼の周りはある種の問題で荒れていた。ある種の問題=彼自身であるがために、この問題はついて回るのだ。ちなみに彼自身は、“博愛主義”である。ここポイント。
学園内食堂では、ある程度の生徒達により、席はほぼ満席状態である。いつも通りの景色。いつも通りの平和だ。しかし、平和がマンネリ化すると、平和がゆえにイライラが募るものなのだ。例えば、そう。彼等のように。
「…暇、だな」
「うん、美味いッスね!」
「いきなりスルーか」
暇と言いながら英語のワークに取り組んでいるのはスコールだ。たまにレオンと呼ぶ人がいる。そして、ハンバーガーとサンドイッチとサラダをガツ食いし、なおかつスコールの話の華麗に聞いて流したのはティーダである。基本、スポーツやブリッツと食い物の事しか頭にない。
「そいや、スコールって、食うの早いッスね」
「お前みたいなスポーツマンじゃないから、量がないだけだ」
「でもちゃんと食ったほうがいいッスよ?細いんだし、将来『鬼兵隊』に入るんだったら!」
「『鬼兵隊』じゃなくて『傭兵部隊』だ。どんな間違いだ。どこのサムライワールドだ!」
「しっかり知ってるよこの人」
しっかり知ってる2人は、実はちょっとイライラしてる。実戦演習があるわけでもないし、スポーツ大会も半年後。ほぼ勉強詰め。これはイライラするしかない。
「よう、2人共」
癒やしの空間到来。イスを引いて席に着くと、ティーダがサンドイッチを目の前に差し出してきた。
「はいあ〜ん」
「え、何いきなり」
「いいから。あ〜ん」
癒やしの空間=ジタンは、ワケがわからず大人しく一口食べた。
「やぁりぃ!ジタンの間接キスゲット〜!ww」
「ティーダ貴様…!」
「俺の間接キス持っていかれた〜!www」
スコールにしたり顔でサンドイッチを食べるティーダに、何故か悔しそうなスコール。ジタンに至っては、いつもの悪ふざけだと普通に楽しんでいる。
実を言うとこの2人、ジタンのことが好きである。
すると、今度はスコールが行動に出た。英語のワークと一緒に身を寄せてきた。
「ジタン、ここの文法はこれで合っていたか?あと、これのスペルこうだっけ?」
「何だよ?俺よりお前のほうが頭良いだろ?」
「いや、ちょっとしんぱいになってしまって」
「なんか言い方若干不自然なんだけど(笑)」
ジタンもワークを覗き込むものだから、自然とスコールと近くなる。
「―――なる程、じゃあここはこの順で――……ぁ。」
「そうそう。それでこれがここに――…?どうした、スコール?」
一瞬が数分に感じる事ってホントにあるんだな〜。なんて、ジタンとティーダは固まったまま思う。スコールは、ジタンの限りなく唇に近い頬から少し離れて言った。
「……デザートのヤツか?ジャムが付いてたぞ。…イチゴが好きなのか」
何をしでかしたかというとズバリ、ジタンの口のすぐ横に、デザートのイチゴジャムが付いていたので、そこにキスして舐めとったのだ。けしからんもっとやれ。←
ジタンは未だに円らな瞳をぱちくりさせている。ティーダは顔を伏せてなんだかワナワナと体を震わせていたが、ついに何かの糸が切れたようだ。
「ホワタアァァァアアア!!!!!!!!」
「グボッ!?!!?」
なんと、いきなりさっきまで食べていた自分のサンドイッチをスコールの口に思いっきり詰め込んだのだ。
「オイィィイ!!!ナニシテンノ!?!!?!」
「おぉお俺の、俺の間接、間接キスををくっ食らいやがれぇぇ!!!!!!」
「ええぇぇ!?どんだけパニクってんだ!!落ち着けスコール死んじゃう!!」
とりあえず、死にそうなスコールと殺す勢いのティーダを引き剥がし、スコールの背をさすってやる。2人共息を切らせていた。
「…大丈夫か?スコールもティーダも;」
「…イヤ、…ゴメンッス…」
「ケホッ、…っ…俺が欲しいのは、お前の間接キスなんかじゃないっ!!!」
「イヤそこかよ!!」
何故か咳き込みながら的外れなツッコミをするスコール。とりあえずは無事なようだ。
と、そこに人影が。