ハガレン小説
□リアルに生きて
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『…ったく…だぁからお子様だってんだよね〜…』
『ほら〜早くしないと、あの人の命失敗でお仕置きカモよ?』
『あっ……ぶな〜!!お前、ちゃんと周り見ろよな!あんな“おチビさん”に負けるなんて僕はゴメンだよっ』
『お〜い…いつまでご機嫌斜めなんだよ……。ったく世話の焼けるお子様だな〜…』
『――――ホラ、ラース』
とびっきりの笑顔で、あいつはさ……。
それはもう、嬉しくて、でも滅多に見ないその顔に少し戸惑いながら、僕はその手を掴んだ。
誰かに呼ばれたような気がして、目が覚めた。視界に広がるのは、痛い程に蒼い空と、風が吹き抜ける柔らかな草原。
―――…君がいない…。
辺りを見回しても、あいつの姿はなくて。
立ち上がり、田舎道を下って行った。
しばらく歩くと、また痛い程に蒼い空と碧い海が混ざり合うのを見渡せる小高い丘。そこをさらに下の方を見下ろせば、すぐそこに赤い屋根と白い壁の、木造の一軒家。
心地よい風が吹き抜ける庭には、
君の姿―――。
君の傍に寄って、君のナマエを呼ぶ。
「‥‥‥‥(……エンヴィー)」
君はそれに気付いてくれて、微笑みながら振り向いた。
「ラース、…オカエリ。やっと帰って来たな。ちょっと遅いな〜って思ってたところだよ。僕もうお腹減っちゃってさ…。ん、別にラースが落ち込むことじゃないよ。ただ気になってただけだよ」
君は微笑みながら僕の頭を少しくしゃくしゃにした。
「…じゃあ、そろそろお昼にしようか。な、ラース」
「‥‥‥‥‥(うん、エンヴィー)」
僕は笑って、コクンと頷いた。
今日のランチは魚介類を使ったコンソメ炒めと、トマトを使ったスープと、少し固めのパン。マーガリンも少し。とても美味しそうだった。
君は、僕とのランチをとても楽しそうに過ごす。あの頃は全く見せなかったカオを、ずっとしている。君は自分が食べたら、僕にも食べさせてくれて。本当に、シアワセ…―――。
―――――……でも、
君は、もう少し、
理想から
離れた方がいい…―――。
イナイのは、
僕ノ方だ―――。
ちゃんと現実に生きて!!
終。