story

□汚れ無き青春
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またイノちゃんにきつく腕をつかまれながら女子トイレまで連れてこられた
いくら抵抗したって私の力ではどうにもならなかった
乱暴にドアを開けてトイレのはじっこまで力一杯押された
ドンっ!!
鈍い音と共にタイルの冷たさと背を打った痛みが全身に伝わった
「いたいっ」
思わず口に出してしまった


「またシカマルと喋ったでしょ!!」


そう怒鳴られた
痛みと恐怖とでうまく喋れずに
言葉とは反対に涙だけはたえずに零れた
両肩を折れてしまうぐらい押し付けられて
身動きも取れずにただ耐えるだけだった
「そうやって泣けば許されると思ってんの!!!???」
バシン!!
思いっきり頬を叩かれた
いつも以上に痛くてその場にしゃがみこんでしまった
「ご…ごめんな…さいっ」

その後も謝り続けたけどイノちゃんは叩いたりやめなかった
「アタシのシカマルなんだから!!取ったらただじゃおかないから!!」
冷たい水をたくさんかけられて手の感覚がなくなった
いつもより力も強くて耐えられなくて
髪の毛を引っ張られて痛くて痛くて思わず叫んでしまった


*******


理科の授業なんて面倒くさかったから昼寝でもしようと今はあんまり使われてない旧校舎に行くことにした。
何も考えずに、たまたま女子トイレの前を通りかかったらいきなり叫び声が聞こえた
こりゃやばいと思って慌てて女子トイレの扉を勢い良く開けた
「どうした!?」
そこには、全身びしょ濡れでしゃがみ込んでるのヒナタとヒナタの髪を握ってるイノがいて
イノは何も言わずに慌てて走って出て行った
「ちょっ待てよ!!!!」
追っかけようとしたけどヒナタが気になって止めた

「ヒナタ大丈夫かよ!」
ヒナタに駆け寄り顔にかかった髪の毛をどかしてやった
目には涙を浮かべてほっぺは薄く赤くなってた
ボロボロのヒナタを見てすぐに何があったのか理解できた
着崩れた制服、微かに震える体に痣に涙にヒナタに何があったかどんな思いをしたのか痛いほどに伝わってきた
「大丈夫か?保健室つれてってやる、安心しろ…!」
今にも壊れそうな彼女を優しく強く抱き締めた

守ってやらなきゃ
とっさにそう俺は思った
第一発見者だからとかじゃなくて

ずっとヒナタの事が好きだった
だから守ってやりたいと強く思った
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