story
□詰め合わせ
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2007/12/28(Fri)01:16
『1228雪華』
白い
どこまでも
どこまでも真っ白
これから先も
真っ白
明日があるのかさえ忘れてしまいそう
いっそのこと忘れてしまいたい
未来も過去も
何もない真っ白な世界に力が抜けた
ゆっくり疲れきったからだが地面に吸い寄せられる
背中から心臓へ伝わる冬の冷たさ
そんな冷たささえ暖かく感じる
手を伸ばしても遥か遠くにある空から
降り注ぐ真っ白な花びら
ゆっくりゆっくり
己の体を白く染めてゆく
今もなお脳裏に焼き付き離そうとしない
過去の幻想が蘇る
赤く染まる世界
黒く濁る空
あぁ早く
早く白く染めて
堅く瞳を閉じ息を殺した
そっと唇に感じたぬくもり
真っ白な世界の終わりが聞こえた
『おかえりなさい』
凍える冷たさの中に優しい温度を感じた
『ただいま』
冷え切った体を暖めるかのように
君はやさしく抱き締めてくれた
春の足音と共に