**音楽室**

□夢の終わり
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「・・・っ!」


ふと、突然。眠りの世界から突き落とされることがある。


「・・・はぁっ・・・」


夢の内容までは、覚えていない。
ただ、良い夢ではなかったのは、肌を伝う冷たい汗から、否がおうでもわかる。
そこで見ていたのは、過去の残像か、現実の後悔からなのか。

「・・・ちっ」

無造作に伸ばした髪が肌に張り付くのが鬱陶しくて、腹の力だけで起き上がる。
微かに湿った髪をかきあげて、ふと一息。
まだ陽が上がるには遠い時刻。眠りのついた街はどこまでも静かで。
吐いた息の音が、やけに大きく部屋に響いた。
有耶無耶の夢から強制的に起こされた身体に纏わりつく、嫌味な痺れ。
煙草でも吸えば落ち着くかと、そんな考えが脳裏を掠めたが、生憎切らしていることを思い出し、再度舌打ち。
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