中毒郷
□たれぞ願ひ
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百目鬼のうちにて
「侑子さん…」
「なぁに四月一日?」
「コイツの家で酒の用意するのは嫌ですけど、これほど嫌なことはありません!!!」
「あら、似合ってるからいいじゃない」
「…似合ってなんかありません!!しかも…」
四月一日は百目鬼を睨んだ。
「何でコイツと対なんですかー!!」
叫ぶ四月一日に侑子はあっさりと告げた。
「だって面白いから」
「………」
楽しげに言う侑子に四月一日は脱力した。
そう四月一日は織姫の格好。
百目鬼は彦星の格好。
「これが俺じゃなくてひまわりちゃんが着てたら最高に可愛いのに…。いや!!それじゃひまわりちゃんと百目鬼が恋人同士ってことにー!!」
「阿呆」
「何だとー百目鬼くせに!!」
「やっぱり面白いし仲良しよね」
「仲良くなんかありませんよー!!」
「それより二人とも短冊に願いは書いたの?」
「書きましたよ〜」
「俺も出来ました」
「じゃ笹に飾りましょ」
「モコナはてっぺんに飾る!!」
ふと四月一日は振り向いた。
「侑子さん?」
侑子が淋しげに見えたのであった。
「侑子さんは短冊飾らないんですか?」
「あたしの願いは……」
不意に風が吹き侑子の言葉が聞こえなかった…。
「さぁ、短冊も飾ったことだし飲みましょ。四月一日用意して」
「………」
「早くしろ」
「ったく、このウワバミどもめーー」
こうして、七月七日は過ぎていった…。
翌日
俺たちの元には侑子さんからの土産が届いた。
そう、俺と百目鬼がコスプレした姿が映った写真が!!
しかも!!
ひまわりちゃんの元にも!!!
「四月一日君と百目鬼君はやっぱりお似合いだよね」
「そんなことないよ…」
四月一日は泣きたかった…
いや、もう既に泣いていた心が。
09/7/7