妖怪家

□嫉妬?
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俺はいつものように妖怪アパートに訪れていた。
ふと、辺りが静かになった。
すると稲葉が突然。

「龍さんだ……!」

と言いながら、俺を残して門に走り出した。
しかも嬉しそうな顔をして。


俺は面白くなかった。
俺以外で稲葉にあんな嬉しそうな顔をさせる男に嫉妬した。
俺はその男を確かめようと稲葉を追いかけた。
稲葉に追いつき、見たものは。




その男が稲葉をベタベタと触っていた!!
稲葉は俺がいることに気づきもしない。
俺は物凄く腹を立てたが顔には出さなかった…。
嫉妬してただなんて恥ずかしくて言えやしないし、嫉妬深くて嫌われたくもない。
せっかく恋人同士になったからな…。
惚れた弱みだ。


振り返ってようやく俺がいることに気づいた稲葉は男に俺を紹介した。
俺は嫉妬を隠し、いつも通りの顔で挨拶した。
稲葉は部屋に走って行き俺は男と二人きり。
嫉妬を隠し挨拶した。


男からも自己紹介された。


そして


俺は嫉妬してたはずが、話してみたら俺は龍さんに嫉妬する気が失せた。
龍さんは見た目も中身もかなりカッコよかった。
これは稲葉も好きになるわけだ。
もちろん俺も龍さんが好きになった。
ただし、憧れの意味でだ。
稲葉も同じなんだ。
こんな男になりたいってな。


嫉妬なんかする必要がなかったんだな。
俺もまだまだだな。


09/7/21

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