中毒郷

□うつろいゆくもの-百目鬼Ver-
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俺とお前の距離が変わってきた。
前ならお前とこうして一緒に店に入ることも話すことも有り得なかった。


「お前にもし何かあったら」


悲しくもあり恐いんだ。
なんて本当のことは言えるはずもなく、俺は咄嗟に誤魔化した。


「弁当が食えなくなる」


俺はそれしか言えなかった。
我ながら上手く言えない。
でも、俺は俺なりに出来ることをする。


それから何度かあの双子に会った。
告白をされた。
俺の大切なのは四月一日と四月一日の大切なものと決めたから。
でも、双子には感謝してる。
双子のおかげで四月一日は少し変わった気がする。
そのせいか四月一日は仕方がなさそうに、俺の好きなモンを作ってやると言った。
好きなモンより四月一日がよかったがそれは無理だから諦め、可能な範囲で答えたつもりだったが…。




どちらも不可能と言われたが、俺は四月一日が元気で四月一日の作るものだったら何だっていい。

09/7/15

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