中毒郷
□欲望
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怪我の功名だった。
九軒の頼みで他校に入り怪我をしたが、そのおかげで今こうして四月一日の作った弁当を食うことが出来る。
前はただ四月一日の弁当を食べて、俺を心配してくれる幸せだったが、その幸せだけで満足が出来ず欲が出てくる。
それが、例えお礼だとしても……
だから俺は…
「明日は笹身のからあげにしろ」
と少し我侭を言ってみた。
俺の要望に四月一日が応えてくれるのかくれないのかが知りたかった。
翌日
俺は昼が待ち遠しくて堪らなかった。
弁当には笹身のからあげが入っているのかいないのかが気になって仕方がなかった。
授業の終わりを告げる鐘がなり俺は威急いで向った。
そして
期待と不安を胸に抱きながら弁当を開けた。
そこには笹身のからあげが入っていた。
俺は嬉しくて堪らなかった。
四月一日が俺の要望に応えてくれたことが。
俺は応えてくれることが分かり、また要望を口にした。
「明日は鰻巻き卵入れろ」
「だからエラそうに言うな!」
四月一日は怒ったがささやかな要望に応えてくれるだけで俺は幸せだ。
以前よりもずっと……
09/7/3