一
□sharing an umbrella(桂)
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「…小さいな……名前、もう少しこっちに寄れ」
桂さんから遠い方の肩を抱かれて引き寄せられる
「か…桂さん///」
「どうかしたか?」
「は…恥ずかしい…です///」
「…そうか?」
「…はい///」
ちらっと桂さんの方を見ると遠い方の肩が濡れていた
「か、桂さん!!肩濡れてるじゃないですか?!風邪をひかれでもしたら………」
「気にせずとも良い。名前、お前に風邪をひかれるよりはオレが風邪をひく方がまだ良い」
「…え?」
「名前には飯も作ってもらっている。それに女子だからな」
「どういう意味ですか?」
「女子はこれからの時代を担う大事な赤子を産み落とす。そんな大事な者が風邪を拗らせ、床に臥せてはならんからな」
桂さんの中は国のことでいっぱい…
私は……桂さんが 好き なのに…
こんなあからさまな一方行な想いだと、哀しくなってしまう
「だがな、名前…」
「…はい………」
「オレにとって大事な…好きな女子は何からでも守りたいものだ。例え雨からでもな」
(…えっと………アレ?…これは、どういうことなのでしょう?桂さんは好きになった女性は雨からでも守りたくって、この状況では、その好きな人っていうのは……………)
ここまで考えて、私の頭はショートして必然的に足の動きも止まっていた
「………名前、大丈夫か?」
私を正気に戻したのは桂さんの声
そして目の前には私の顔をのぞこうとしている桂さんのドアップ
「!!だ、大丈夫です、桂さん///」
「そうか。なら………いつになっても待っているから…返事を聞かせて欲しい」
言いながら、じっと私の顔を見つめる桂さん
「さて、さっさと帰るとするか」
「か…桂さん///」
歩み始めた桂さんを止めた私の声
「どうかしたか?………名前?」
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