三つ子の魂百まで
□09.初めての柳生家
1ページ/3ページ
九ちゃんの家へ初めて行くことになった休みの日
早過ぎとも遅すぎずな程よい時間に家を出た
勿論、トシとギンには「ちょっと買い物に言ってくるね、マヨと糖分も買ってくるから〜」と言って出てきた
柳生家の前に着いた私は足を止めて呆然としている
玄関が志村家と同じ様に門だけれど、志村家へ遊びに行ったときは神楽ちゃんも一緒だったから、一人で道場の門を潜ることは初めてで戸惑っていると
「何かうちに御用ですか?」
と後ろから声をかけられた
「…え?」
振り向くとスーパーの袋を手下げた、髪が長くて目の細い男の人が立っていた
「えっと…柳生家の方ですか?」
「 ! (若に勝るとも劣らず愛らしい…) 家の者ではないのですが…私、使用人をしている東城歩と申します」
「あ、はじめまして、九ちゃ…九兵衛ちゃんの友人の土方名前といいます。今日は九ちゃ…九兵衛ちゃんと約束していたのですが、こういうところは初めてで、どうお邪魔すればよいのか、と…」
「あぁ、若の御学友の方ですか」
「…若?」
「あ、失礼いたしました。若とは九兵衛様のことです。あなたも、若をいつも御呼びになってらっしゃる呼び方でお呼びになられて構いませんよ。若と親しい間柄の様に見受けられますし」
「あ、はい!親しくさせてもらっています。九ちゃんは本当に優しくていつもお世話になってばかりです」
「そうですか。さて、立ち話もなんですので、中へどうぞ。私が案内いたします」
「!ありがとうございますっ」
「(あぁ…可愛らしい…)」
東城さんに連れられて門を潜る
外から見ても大きな御屋敷だと思ったけれど、門を潜って見ると予想以上に広くて大きい
一人で門を潜っていれば、きっと九ちゃんの元へ着く頃には夕方になっていただろう…
東城さんに会えて本当に良かった……
.