二章
□冬の空
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その日私は兄に頼まれて買物に出ていた。
「ほらお譲ちゃん、人参もってけ」
「ありがとうございますおじいちゃん!」
ジャガイモと人参、それに玉ねぎ。
町の人にちょっとだけおまけをしてもらい、あまったお金でお菓子を買って帰り道をスキップして帰っていた。
「後で兄上と食べましょう」
ふと視線の端におかしな帽子を被った小さな男のが映った。
蹲り地面をジッと見詰めている。声をかけようかとも思ったが、陽が暮れる前に帰って来るようにといわれていたのでそのまま何もせず帰り路を急いだ。
いつもと同じ帰り道。でも、いつもとは何かが違う、帰り道。
胸がザワザワと騒いで煩い。
急げ急げと胸が高鳴る。
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