二章
□ナイトメア
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「ここでお別れです」
雪も溶け、ようやく出発することが決まったある日の朝。突然ルビーが別れを告げ出した。
「なッ…どう言うことですか!!」
声を上げたのはマーベル。シリュウはただ悲しそうな顔をするだけ。
「まさか私だけ置き去りとか?」
「違います」
「なら何故?!!」
怒りながらもそれならそれで良いとマーベルは思っていた。
寂しい気はするが、自分がいつまでも二人の邪魔をするわけにはいかない。いつかは別れなければ、そう思っていたが…
「マーベル殿、手を」
「え?」
ルビーはニッコリ微笑むと自分の手を差し出されたマーベルの手に重ねる。
冷たい一切の温もりを失った手。 人とは違う者の温度。
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