二章
□嘘吐き
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「お早うございまっす!!」
「マーベル…」
早朝と言うにはまだ早い夜明け前の宿の一室。先程ようやく眠ることになり、上衣を纏おうとしていたシリュウは突然部屋に入ってきたマーベルの姿を見て苦笑する。
「盛んなのは良いですが、毎晩毎晩…ルビー殿が体調崩したらどうするつもりですか?!」
「加減はしている」
腰掛けたベットの中でスヤスヤ眠るルビーの髪をクシャリと撫でながら、シリュウは微笑む。
「ただ遂、な…」
「遂って…」
『遂』で潰されるまで抱かれたらたまったもんじゃないだろう。
「それよりどうした?こんな朝方に」
「ちょっと、心配になりましてね」
「心配?」
マーベルは踵を返し部屋から出て行こする。シリュウは疑問符を浮かべながらも特に追求することは無かった。
きっと触れて欲しいことではないのだろう。そう思ったから。
「姜維には似ているが、まったくの別人だな」
クスリと笑みを溢しシリュウは愛しい人の眠るベットに潜りこんだ。
「そう…私は別人ですよ」
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