二章
□chronicle
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「‥まただ…」
いつからだろうか?意識が混濁とするようになったのは。
仕事をしている時などは支障ない。ただ、時々夢に引き込まれそうになるときがある。
最初はただ見る夢だと気にせずにいた。しかし、ある人物の登場でソレは大きく変わった。
『俺の名前はクリスという』
白銀の髪に意思の強そうな、瞳。その仕草一つ一つをとっても、どうみても…
「孟起ですよね…」
諸葛亮から頼まれた書簡を劉備に渡す為回廊を進みながら姜維は考える。
夢の中の自分によく似た青年はそのことを知らない。もどかしい気持ちはあるが姜維は動くことも、言葉を話すこともできない。
その他にも自分と係わりの深い人々がここ最近多く出てくるようになっている。姜維や馬超と仲の良い趙雲、それに今は帰国しているが趙雲の恋人である陸遜。
ただ似ているのではなく、そっくりなのだ。
そしてその夢の中では望まない光景さえも映されてしまう。
「…あんな夢‥」
姜維がポツリと呟いた声に
「どんな夢だ?!」
答えが返された。
「うわぁ?!!」
突如かけられた言葉に姜維は驚いて振り返る。
「どうした?」
其処には首を傾げる馬超の姿があった。
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