二章
□chronicle
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あの街に帰ろうと言いだしたマーベルの言葉に、二人は快く頷いた。
そうして雪に閉ざされていた町を出て知る。
到着することには春だろうと微笑む二人に反してマーベルの心は複雑な思い出いっぱいだった。
街に着くことは、同時に別れを意味している。
あの街に戻ってやらなければならないことを考えれば、恐らくこの『遊び』は終ることになるのだろうから。
そのことに早く「自分」が気付いてくれなくてはいけない。
三人が街の近くへ着くと同時に、その耳に不穏な噂が届いた。
「…戦争?」
たった二ヶ月の間に隣国と関係が悪化、あの国は今や戦の最前線にあった。
小高い丘へと駆け上ると国境付近には明らかに別国の国旗を掲げた一部隊が駐屯しているのが見てとれる。
相手方の国旗を見てシリュウの顔が険しくなった。
「あれは…」
例え離れてしまおうとも故郷の国旗を忘れるはずは無い。世界で最も敬愛する国の象徴たるものなのだから。
複雑に絡んだ糸はやがて形を作り始める。
未だ真実の見えないまま、最後の戦いへと進む。
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