二章
□chronicle
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その先に貴方がいることを信じて
『CHRONICLE』
ずっと忘れていた。いいえ、私は知っていたはずだ。この世界の真実を。
知っていたのに真実から目を背けていた。そうすれば全てが真実になるのだ。
だけど、変わりに泣いてしまう人がいるのです。その人はとても大切な人です。
目を覚ましましょう。例え瞳を開けた時全てが偽りと知って苦しんだとしても、ソレは私に科せられた罰なのですから。
「貴方は真実を知り、命を落とした」
自分と同じ顔をした兄。
「終らせましょう…」
ずっと不思議だったことがある。
記憶の中には確かに両親の記憶があった。しかしそれは濃い霧に包まれ決して見えることはなく、ただそこに『居た』ということのみ。
両親が帰って来ない理由すら知ろうとしなかった。
そうして兄が亡くなった時から…そう、あの時から私の記憶が色濃くなる。
『全ては悪戯だ』
もう、目は背けない。
全て取り戻す。
たとえその先が苦しい毎日だったとしても。
その先に真実があるのだと信じて。
「待っていてくださいね…」
死んだはずの少女
生きているはずの者が何故生きているのか
偽りの過去
偽りの世界
全て終らせなくてはいけない
例え、私が消えることになろうとも
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