キリリク
□「後ろ」
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数分後それは追って来なくなった
自分がどれ程逃げ回ったかは少年はわからない程走りきった
その場に座り込み荒い呼吸を整える為深く空気を吸い込み
そしてすぐにまた影の腕がやって来るかわからない恐怖で立ち上がり
そのまままた歩き始めた
やはり景色が変わらなかった、全体を見回したいところだが後ろは出来れば振り向きたくなかった
「後ろの正面だぁれ?」
何処か聞き覚えのある声がすぐ後ろから聞こえた、何処か懐かしさのある声だった
少年はとうとう振り向いてしまった
そこには幼い頃の少年の姿があった
「後ろの正面だぁれ?」
そう言いクスクスと笑う男の子
「……俺?」
少年は何が何だかわからずにぼそっと呟くように答えた
その瞬間、にィと笑い、顔が歪み皮膚が剥がれ口が裂け少年を丸飲みにしてしまった
少年と少年の夢ごと食うそれはもう幼い頃の姿ではなくなっていた