小説

□異端な僕の食事会
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廃墟となった病院のとある個室の隅で
僕は生まれた

親はいない
いるとしたらこの空間が親だろうか

手足の発達が遅く、始めは転がる事しか出来ない
まぁ、兎に角移動する事に成功した

次に食料だ、食料を得る為に他の部屋に行った(といっても転がるしか出来ないが)

まず、赤い部屋に行った

病院なので赤い部屋という事に違和感があるがそれは先入観だと言い聞かせ中に入って行った

中は外から見るよりも狭く小さな部屋だった
幼い僕でもギリギリ入れる程の部屋だ(もしかしたら僕が大きくなったのかもしれない)

その部屋には頭は人、体は虫の僕より小さな住民がいた

彼は僕を見るなりにっこり笑って「君の兄だ」と言い、「私を食べたまえ」と言った
僕は彼の言葉に従って彼をバクリと食べた
不味かった
しかし不思議な事に腹持ちは良くこのまま一生何も食べなくても良い感覚になった

次に僕はどうしようか悩んだがとりあえず赤い部屋から出る事にした

すると部屋を出るなり僕の手足は兄と名乗った彼のように虫の手足になっていた(体は彼のように小さくなかったが)

そこで僕は壁をつたって他の部屋に行く事にした

長い廊下を歩いていたら壁に穴が空いていた所にたどり着いた




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