歌
□手放した白い糸
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*過激な表現あり
ショー・ウィンドウに映るは憧れのバックと反射した少女の顔
どんなに欲しくてもそんな金も覚悟も無い
ただただ眺めているのが日課となっただけ
少女故に働けず、かといって甘えれる親も居ない
夢だけを持ち込んで居場所の無い夜をさ迷う
華奢な容姿は更に肉を無くし覚束無い足取りに成り
「此のまま夜の暗さに溶けていくの…?」
最早夢等不安に包まれていた
どんなに懸命に生にしがみついても、意識朦朧の中転倒してしまった
宙を見る目に人影が映った気がした
意識が戻ったその日から少女は「造花」と言う名前でネットアイドルとして生き始めた
又々通り過ぎた自称「未来のアイドル」を生み出す人達に保護された少女は、恩として彼等の願いを叶える為に彼等の元に住み着いた
機械だらけの殺風景なスタジオのスポットライトの先で「造花」と言う少女は輝いてた
居場所が無いと思っていた、闇に呑み込まれてしまうかと思っていた
もう以前の少女ではなく、妖艶な容姿のアイドル「造花」として情報網の中で生きる
毎日少女のアクセス数が増えて少女のあどけない幼顔も今は無くなった
自称「未来のアイドル」を生み出す人達はもう優しくしてくれない
少女は段々不満が募ってく、不安がまた希望を包んでた
「私は只の、金蔓って事…」
いつもよりほんの少しだけアクセス数が減っていただけで少女は痣まみれに
それでも彼等は止めなかった止めようとしなかった
「CGで皺も隠せる」「痣だって隠せる」と譫言のように呟いて
機械だらけの殺風景なスタジオのスポットライトの先で「造花」と言う少女は泣いていた
所詮は「造られた花」で「生花」よりも繊細に扱わなくて良い
何時の日にか棄てられるその日を待ち望んでいる一方で恐れていた矛盾