頂き物小説
□〜きっとくる・・・〜
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「………」
「………」
二人は、黙って見つめあっていた。
刃は、この状況を理解しようと頭を働かせたが、ダメだった。理解しようとすればするほど、怒りがわいてきた。
「お前…人ん家の風呂で何してんだ?」
「何って、入浴してたんですよ」
「………服着たまま、風呂ん中に潜るのは、入浴じゃねぇ!!!!!!」
掴んでいた手を、湯に叩き付けるようにして離した。
「兄様、何騒いでるんですか〜?」
怪訝そうに、ギニアがやってきた。一人何騒いでるんだ?と、調理の途中だが見にやってきた。
「ギニア、何でアレがいるんだ!?」
「アレ…?」
「アレとはひどいですね…」
バスタブから出てきたのは、いつも通り黒のスーツを着たディレック。しかしいつもと違って、全身びしょ濡れだ。
「兄様、失礼ですよー」
「俺より、コイツのが失礼だろ!?何で、服着たまま風呂ん中に潜ってんだよ!!」
ずれた事を言われたが、そこをツッコムと話が進まないので、刃は本題に入った。ギニアとディレックは、ちょっと考えるように見つめあっている。
「にゅ…入浴剤…」
「そうそう、新しい入浴剤の実験です」
「こんな入浴剤はいらねぇ!!」
明らかに今思い付きましたな答えに、刃は納得出来ず、二人を追い出した。
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「んー、作戦失敗でしたねぇ…」
「入浴剤は、苦しかったですね」
ディレックは濡れた体を乾かしながら、苦笑した。ギニアは、調理の仕上げをしている。
「でも、他にいいのなかったんですもん…」
「確かに、あの状況ですとね…。まっ、"私"は失敗しましたが、まだ"アレ"がありますよ」
面白そうに笑っているディレックを見て、ギニアは浴室の方を見た。
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「…ったく、潜ってるだけで黒くなるって、どーゆーことだよ…」
二人を追い出した刃は、ブツブツ文句を言っていた。
「あれか、アイツの腹黒さがにじみ出てきたのか?」
などと言いながら、今度こそ栓を抜こうと手を入れた。
「あのやろ…髪の毛ゴッソリ残して行きやがって…」
自分が追い出した事は忘れたのか、とにかくディレックの不満をこぼしていた。
手を入れたら長い黒髪が絡み付いてくる。そのまま栓を手探りで探そうにも、腕に付いた髪が絡まりあい、上手く動かせれないし、何より感触が気持ち悪い。刃は、ひたすら手を入れては出しを繰り返していた。
「…んっ?」
違う場所から手を入れた刃は、何かに触った。
「んーーー?」
絡み付く髪と戦いながら、刃はひたすら触った。
「…これは…蓋、か…?」
取っ手のようなものがあるし、触った形をイメージすると、鍋の蓋のような気がする。
「何で鍋があるんだ?」
当然の疑問を口にして、一旦手を出した。上から覗いて見たが、黒くて何も見えず、本当に鍋なのか、分からない。
「…やるか…」
決心した声を出すと、刃は手を突っ込んで、鍋の蓋と思われるものを取った。
「ったく、人ん家の風呂に潜るし、鍋は入れるし…何考えてんだアイツは」
蓋に絡み付いている髪の毛を取りながら、呟く。刃の文句は止まらなかった。