頂き物小説

□〜きっとくる・・・〜
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仕事が休みで、特にこれといってやる事がない。

(…寝るか…)

そう思って昼寝をしていた。

目が覚めると、そろそろ夕食の時間になろうとしている。寝過ぎたからから、身体が妙にダルイ。そんな身体を引きずって、刃は部屋を出た。

妹―ギニアは夕食の用意をしていた。まだ作り終わらないようだったので、ソファに座ってボケーッとしていた。まだ完全に覚醒していなかったのだ。ふと机を見ると、何やら置いてある。

「ギニア、なんだこれ?」
手に取って、ギニアに見えるようにして聞いた。

「呪いのビデオです」

手を休めて顔を上げたギニアは、予想外の言葉を口にした。

「ハッ?」
「見たら一週間後に死ぬんですって〜」
「くだらねぇな」
刃は鼻で笑うと、ビデオを机に置いた。

「面白かったですよ〜」
調理を再開しながら、ギニアはビデオの内容を話し始めた。

「"呪いのビデオ"ってビデオがあって、それを見たら長〜い黒髪の人が井戸から出て来て、しかもテレビからも出て来るんです!!」
「………」
ギニアの話を元に、刃は想像しようと試みた。

が…

「コントなのか?」
「ホラーですよ!!」
「どの辺がホラーなんだよ…」
どう考えてもコントにしか思えない刃だった。

「兄様、寝ぼけてるならお風呂にでも入ってきたらどうです?」
寝ぼけてるつもりはないのだが、調理もまだ終わりそうにないので、刃は素直にギニアに従った。

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頭からシャワーでも浴びて、目を覚ますか。

そう思ったのだが、どうも入って来た時から違和感がある。何だろう?と考えていると、不意にピチャンと水の音が響いた。普段なら何とも思わないのだが、どうも気になって仕方がない。音のしたバスタブを見ると、違和感の正体はスグに分かった。

金色の猫足のバスタブは、母親がお土産に買ってきたものだ。白いバスタブは、ギニアがいろいろといじったが、それでも"あんな色"ではなかったと思う。

「…んだよ、この黒さは…何入れたんだ?」
見事に真っ黒な湯が、少しずつバスタブからこぼれ出ている。

「入れ直すか…」
こんな湯には入りたくない。面倒だが入れ直すしかないか…と溜息を吐きながら、刃は栓を抜こうと、手を入れた。

「―っ!?」
何か、普通は入っていないものに触れ、身体に寒気が走った。

「…なんだよ…」
シャワーを浴びてないから、こんなに鳥肌が立ってるんだ!!などと刃は思い込んだ。ギニアが言ってた、コントみたいな話が、脳裏に浮かんできた。
関係ないだろう、と軽く頭を振り、刃は再び手を入れた。

「はっ!?」
入れた瞬間、右の手首を何者かに掴まれた。強い力で掴まれ、しかも引っ張ってくる。刃は、引き込まれまいと踏ん張った。

「…隠れてないで、出てこいやっ!!」
寒気よりも怒りが勝り、刃は掴んできた手を左手で掴み、思い切り引っ張った。
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