頂き物小説

□風邪
1ページ/1ページ

「風邪をひいたのかね?」
私が鼻をかんでいると、後ろから声がした。ドキリとして振り返ればアーチャーがいた。
「…ちょっと鼻水が出るだけだから大丈夫、ら…っくしょい!!あ゛ー」
「全然大丈夫ではなさそうだが?」
「ぅ゛……」
皮肉めいた口調で言われ、私は言葉につまる。
「ほれ、風邪薬だ。」
アーチャーに市販の風邪薬と胃薬を手渡される。あれ?さっき探した時に無かったような気がしたんだけど。
「君が風邪をひいていたようだったから買ってきたのだよ。」
そう言いながら水の入ったコップも手渡される。アーチャーはお母さんみたいだなぁと思い、つい口元が緩む。
「…?何か可笑しな事でもあったか?」
私の顔をじっと覗き込むアーチャーに、また笑ってしまう。
「…どうでも良いが………鼻水が垂れているぞ…」
「あっ!!!」
笑っていて鼻をかみ忘れていた!私の鼻水は、ダラダラと唇に付きそうな勢いで流れている。
「ほら、じっとしていろ…」
アーチャーはティッシュを2〜3枚、手に取り、私の鼻に当てる。私は少し顔を赤らめながら鼻をかんだ。
「…顔が赤いぞ?熱でもあるのかね?」
アーチャーの大きな手のひらが私のおでこに当てられる。
「熱は無さそうだが…まぁ今日はゆっくりと寝るが良い。」
アーチャーは私を軽々とお姫様抱っこして寝室へと連れていく。
「お休み……」
そう言って私のおでこにキスをしてくれた。私は、しばらく風邪は治したくないなぁと思ってしまった。

翌日。
「おっはよー☆☆☆」
「…やはり馬鹿は風邪はひかないか」
「…何か言った?」


END
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ