―幻惑の風―

□春、桜色
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 深夜。六を誘って出掛けたのは俺のお気に入りの場所。
 満開に咲き誇る桜並木。こうゆう、風流の有るものが好きな六は見てるこっちが嬉しくなるくらい嬉しそうだった。

 「綺麗だな」
 「ホントにねー。今日は月も綺麗だし、言うこと無しだね。」

 月下の元で見上げる桜は、ホントに綺麗で。二人揃って立ち止まり、見上げる。回りに誰も居ないからほんと、幻想的って言うか…この世界に二人だけしかいない、みたいな…そんな気分になってくる。

 「…エム」
 「んー?」
 「ありがとな」

 ふわり、って。ちょっぴり頬を桜色に染めた六は、まるで花が咲くみたいに綺麗に微笑んでくれて。

 「…六が喜んでくれるなら。」

 俺だけに見せてくれるその顔は、桜なんかよりもずっと俺の心を捕らえて放さないんだ。

 「また、一緒に来ようね。」

 そう言った俺に六は笑って、あぁ、って言ってくれる。

 ひらり、と桜が舞う道上。
 俺はこの世界で一番幸せ者だ。

 夜桜の下、貴方と一緒。

 (エム、今度は昼に来よう。)
 (俺、六の唐揚げ食べたい!!)
 (連れて来てくれたからな、作ってやるよ。)
 (マジで!!やったぁ!!六大好き!!
 (おい!!歩きにくいから抱きつくな!!)
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