ハイキュー
□黒猫注意報
2ページ/5ページ
――――――――――
「もっと声出せェー!!」
岩ちゃんの声が響く。
今日は東京の音駒高校との練習試合。
先々週烏野と練習試合をして全勝していたらしい。
今の烏野のレベルがどのくらいになったのかは知らないけど、一回も負けてないあたり強いのだろう。
そこで、俺達が全国に行くことを考えたら県外の高校と戦うのもいいかなって監督に提案したんだ。
そしたら音駒の監督はあっさりOKしてくれたみたい。
アップ終了後、音駒の主将と挨拶を交わした。
「音駒の黒尾鉄朗です」
「青葉城西の及川徹でっす☆」
互いに笑顔で握手する。
その刹那俺はわかった。
こいつ、食えないタイプの奴だ。
「試合、楽しみにしてますね」
変わらずにっこり。
何だか腹立つなぁ。
「どーぞ当たって砕けてくださいネ」
どんな高校だろうと捻り潰してやるよ!
もちろん、俺のサーブでね。
そこで俺はいいことを思い付いた。
「そうだクロちゃん」
「………はい?」
今日初めて会った奴にいきなりあだ名で呼ばれ、思わず笑顔を崩し眉間にしわを寄せるクロちゃん。
「負けた方が勝った方の要望に応えるっていうのはどう?」
我ながら幼稚なことを言うよ。
仕方ないじゃん、フッと浮かんだんだから。
正直適当に流されて終わるかと思った。
「……面白そうじゃん、やろうぜ」
ノってくれたよ、この人。
「どっちが勝っても、恨みっこなしね?」
「当たり前だろ」
そう言い残してそれぞれチームメイトの元へ戻る。
『青葉城西対音駒、練習試合開始!!』
コールと共に試合と主将どうしの小さいゲームが始まった。